2022.05.20
院長ブログ
『気づき』
ある30代、男性患者様のお話です。
先天性の身体疾患に罹患され、身体の不調感に加えて気分の不安定さなどの精神症状が診られており、定期的な通院をされております。
通院には、お母様が付き添っていらっしゃいます。
ある日の診察で、患者様が「自分みたいな人間を産んで、育てるのも大変で…母親は後悔しているのではないでしょうか?」と私に質問されました。
「それは、隣にいるお母様に聞いてみたらどうでしょうか?」と言ったところ、お母様はこう即答されました。
「そりゃ、あんたが産まれて本当に苦労した。普通の子だったらどんなに良かったか、と思ったりもした。でもねぇ、あんたのお陰で、沢山の人と知り合えた。あんたが病気をしていたことで、普通なら知り合えなかった沢山の人と知り合えたよ。今では、あんたに感謝してるよ。」
物事にはいくつもの側面や見方があります。
我々は、ある一面からしか、その物事を見ていないことが多いのだろうと思います。
当たり前と思っていることは、なおのこと気づきにくいはずです。
複数の事実に気づき、それをしっかり意識することで、気分は自ずと変わるのかもしれません。